げんきげんきをつくる食卓 保護者支援のために-食実践の3つのポイント② -どんどんつくろう! シンプルな組み合わせでからだの材料をつくろう【後編】

4月より、「こども成育インストラクター講座<食専科>」のディレクターであり、「健康食育」の講座も担当している隅弘子先生が、月刊誌『こどもの栄養』(公益財団法人 児童育成協会発行)にて、連載をしています。

児童育成協会様にご快諾いただき、連載の内容を当協会でのブログでも公開することになりました。「こども成育インストラクター講座<食専科>」をベースとした連載ですので、本講座のエッセンスがギュッと詰まっています。

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どんどんつくろう! シンプルな組み合わせでからだの材料をつくろう【前編】

 

◆もやす×つくるを可能にするシンプルな組み合わせ「ご飯×お味噌汁」

ご飯のたんぱく質をより効果的に活かす方法をここでお伝えします。それはご飯に味噌汁を添えることです。このシンプルな組み合わせがよりからだの材料を「つくる」チカラを高める組み合わせとなります。味噌の原料は大豆。大豆のたんぱく質がもとになっています。

 

 

 

 

実は、お米のたんぱく質がそれほど重視されない理由の1つに「質」の問題があります。少々専門的な言葉が続きますが、たんぱく質の「質」を表す評価数値として「アミノ酸スコア」というものがあります。

先述したお肉やお魚といったたんぱく質を豊富に含む食品のアミノ酸スコアは100。つまりとても質のよいたんぱく質がとれる食品です。それに対して、精白米のアミノ酸スコアは「65」です。

質の面からすると少し劣ります。しかし、食事は複数の食品との組み合わせによって構成されるものですので、足りない数値は他の食品で補えればいいのです。

 

その補助食品としてお勧めなのが「大豆食品」です。とくに味噌は発酵食品で、大豆として食べるよりも子どもには消化吸収の点で負担になりにくいのもおすすめしやすい点です。

ご飯のアミノ酸の補足効果が期待できる味噌汁は、普段なにげなく組み合わせて食べているのではないでしょうか。子どもの「げんき」をつくる食事のポイント「からだをつくる組み合わせ」として、とても有効な組み合わせといえますね。

 

朝食をつくる時間が足りないと思うのであれば、納豆ご飯だって立派な組み合わせです。丈夫な骨、「げんき」をうみだす筋肉、たくさんの発見を感じ取る体の器官をつくるなど、体の大切な材料となる「たんぱく質」は、乳幼児の消化吸収能力が未熟であることを配慮して食べさせることを、お母さんにはアドバイスしましょう。

その組み合わせが「お米×大豆製品」を意識した食事です。

 

**間食も含めコツコツ「つくる」組み合わせを*********

お米と大豆製品の組み合わせは、間食でも使える組み合わせとなるでしょう。例えば、きなこをまぶしたおにぎり、いわばおはぎのような組み合わせです。手づかみ食べしやすいサイズで用意してもいいですし、「きなこをつける」という工程をお手伝いとして親子で楽しんでみるというのも「楽しみながらの食育」につながります。

 

 

◆「ご飯とお味噌汁」でも楽しい食卓が作れます

毎日、家事育児など忙しい中で、あれこれ品数を作って(おかずのレシピのアイデアについて悩まれている方は特に)疲れきる前に、今一度「ご飯とお味噌汁」を見直してみませんか?

 

普段からご飯と味噌汁を組み合わせた食事をしているとわかれば、お母さんは安心できます。さらにいろいろな食感や色が楽しめる具材の味噌汁にしてみては、とアドバイスしてみてはいかがでしょうか。

キーワードは「御御御付(おみをつけ)」です。「御」の字の数だけ具材をそろえてみましょう。具沢山の味噌汁にすれば、たった2つのお碗の中でも栄養バランスが整いやすくなります。これだけでも食事作りのストレスや悩みを和らげる支援ができるのではないでしょうか。

また、料理の時短になる点もお勧めできるのも大事な視点ですね。皆様のご支援によって少しでも、親子で食卓を楽しむ時間や余裕がうまれることを期待しています。

 

**お味噌汁のイメージを膨らまして************

味噌汁というとみなさんはどんなイメージをお持ちでしょうか?

「和」を感じる汁椀と思われて、具もなんとなく和の食材を選びがちになっていませんか?私はお母さん方などにお話しする際に、「miso-soup」というように横文字を使って表現したりします。

つまり、味噌を使っていればあとは好きなように考えてみましょうということなのです。「和」のイメージになりやすい昆布やかつお節などの「だし汁」を、コンソメやブイヨンに替えてみてはどうでしょう?

 

これだけで一気に洋風スープとなり、加える具材の船体櫛がグッとひろがります。だし汁以外にも豆乳や牛乳を一緒に加えると、よりまろやかさが加わり、ホワイトシチューのような見た目です。

彩りを考えた具材や、食器の選択肢の楽しみにもつながりますね。汁椀の中でもいろいろとバリエーションがひろがれば「ご飯とお味噌汁」という組み合わせも飽きずに楽しめるのではないかと思います。

 

ぜひ、いろいろなお話のネタとしても「miso-soup」を広げてみませんか?