好き嫌いはなぜ起こるのか?-お口の中の変化も観察してあげよう

「こども成育インストラクター〈食専科〉」第3期生で、歯科衛生士として長年のキャリアを持つ宗田香織先生。現在、「こども成育インストラクター〈食専科〉」のアンバサダーとして活躍しています。


 


歯科の現場でも、お母さん方の「お子さんのお口に関するお悩み」がよく聞かれます。そうしたお悩みについて、歯科衛生士、そしてこども成育インストラクターの目線から有効なアドバイスを宗田先生がお伝えします!


 


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今回のテーマ:こどもの口の変化と好き嫌い


 


ピーマンの苦味が嫌い…


トマトの酸味が苦手…


 


人の味覚『五味』のうち、苦味(毒と認識している味)と酸味(腐敗を表す味)は、生命を守る為に生まれながらにして嫌いになりやすい味です。


その為、この様な特徴をもつ食べ物を人(特にこども)は嫌いになりやすいのです。


 


けれど、好き嫌いの理由はそれだけではないのです!


 


皆さんはこんな経験ありませんか?


家族で楽しいドライブの時にいつもは「少しよ!」と言われているお菓子を「今日は特別」と夢中で食べて乗り物酔いをして苦しい思いをしたり、大好物を兄弟で競って食べ過ぎて、お腹が痛くなったりしてそれ以降好きではなくなってしまったり…。


元々好きな食べ物でも、それを食べた後に体調を崩したり辛い体験をすると、その食べ物を嫌いになってしまうのです。


これを「嫌悪学習」と言います。


 


 



 


 


好き嫌いは口の中の状況にも影響されます。


 


口内炎や傷があったりすると、そこに食べ物があたると痛かったり、酸味があるものや塩分の強いものが滲みたりして、治るまでは積極的に食べたくないですよね。


 


特に、お子さんの口の中は目まぐるしく変化します。


 


乳歯が生えてくる時は、歯茎が押されて痛かったりムズムズしたり不快な状態が続く事があります。


さらに永久歯へ生え変わる時は、グラグラ揺れる歯がいつ取れるか不安だったり、抜ける時の痛みを想像すると食事どころではありません。


 


そんな辛い思いをしているから食事を残してしまったのに、「好き嫌いしないで食べなさい!!」などと怒られてしまうと、その時の食べ物を『嫌い』になってしまうことにもなりかねません。


そして、そうしたことが続くと、嫌いが強められ『拒否』が生まれてしまうのです。


 


「食事=痛い・怖い」と、認識したり学習してしまうと、食卓につくことさえ嫌になってしまいますよね。


 


こどもは味の好き嫌いだけではなく、“成長過程で口の中の変化により好き嫌いが起こることがある”と、お母さんが知っていることで子育て中のストレスを少なくすることができます。


 


ご家庭では、「新しい乳歯が生えてくるタイミングなのかな?」「口内炎や傷はないかな?」など、仕上げ磨きの前に先ずは口の中をしっかり観てあげることで口の中の変化を見つけることができます。


 


お野菜をいつもより柔らかく煮るなど献立を考えることも出来ますし、歯みがきの時の刺激も未然に防ぐことが出来るので、歯みがきでの嫌悪学習も避けられますね。


 


ぜひ、お子さんの口の中の変化を優しく見守ってあげてくださいね。