未熟だったデータベースからスタートした挑戦―「オヤトコ診断」開発ストーリー(8)

Webアプリ「オヤトコ診断」の開発ストーリー第二弾では、開発者の一人である

協会理事 大塚千夏子のストーリーをご紹介しています。

 

前回は、「オヤトコ診断」のベースである『こども発達スケール(R)』の誕生秘話をお話いたしました。

 

こどもの発達の羅針盤があれば、保育や育児の現場はもっと快適になる―「オヤトコ診断」開発ストーリー(7) はこちら

 

 

今回は、『こども発達スケール(R)』をベースにした「オヤトコ診断」開発までの道のりをご紹介いたします。

 

 

―役立たずのデータベースからスタートした挑戦

 

大塚:沢井佳子先生の長年のご研究の蓄積である膨大なローデータをまとめた 『こども発達スケール(R)』を

さらに育児や保育の現場で活用していただけるようにするにはどうしたらよいのか。

 

私たちの挑戦がはじまりました。

 

まず実行に移したのは、データベース化でした。

 

お母さまや保育園の先生が、困りごとを入力すると参考になるような回答が出てくるような仕組みに仕立てる。

 

たとえば、「食べ物の好き嫌い」というキーワードを入れると、データベースから「好き嫌い」に紐づくコメントが抽出され、

お子さんへの働きかけに活かせるというものを思い描いていました。

 

今でこそAIの出現により、こうしたデータベースに基づくアドバイス機能を持ったサービスなどを目にするようになりました。

 

しかしながら、開発を思い立った2014年当時は私たちのイメージもまだ漠然としていたこともあり、

出来上がったものはデータベースの域を超えない、とても役立ちそうにないものでした。

 

「食べ物の好き嫌い」というキーワードを入れると、確かにそれに紐づく情報を抽出することはできます。

 

「語彙が500~700個まで増える」「味覚の発達」「奥歯が生えてくる時期」「咀嚼ができるようになる」などといった、

好き嫌いが生じる要因となる単語は出てくるのですが、そうした一連の単語が「好き嫌い」とどう結びついていくのか

という説明をコンピュータはしてくれません。

 

これでは子育ての困りごとを入力しても、わかりやすい回答は得られない。

 

本来の目的である、「子育てにまつわるストレスやイライラを解消するサービス」をいかにして実現していけばよいのか。

 

試行錯誤の日々が続いていきました。

 

次回へ続く。