
「こどもが好き嫌いをして食べてくれない」というのは、お母様の心配事でよく挙がるものです。
未就学児のこどもについて言えば、そのころの味覚はまだ発達の途上で、大人よりも敏感な時期です。大人にとって美味しい食べ物でもこどもにとっては食べることが難しい場合もあります。
食の経験を積み重ねながら、いろいろな味を覚えていく段階にあるということを、大人たちは理解し、まずは見守ってあげることが肝要でしょう。
また、お口の中も激変する時期。乳歯が生えることで、舌が活発に動き出し、味覚が発達していくのです。
歯が生えて食べられる物が増えてくれば、嫌いな味に出会ったり、好きな食べ物も移り変わったり、様々な変化が起こります。
そうした味覚や口の発達の時期には、味覚とは別のなんらかの事情で「嫌い」になることもあります。
たとえば、ある物を食べたときに、たまたまお腹を壊してしまった。
その食べ物が原因でなかったとしても、食べ物とお腹を壊したという経験が結び付き、その記憶が長くとどめられることによって、その食べ物に嫌悪感を感じるようになってしまうのです。
これは嫌悪学習、ガルシア効果と呼ばれるもので、心理学でも立証されています。
さらに、周りから食べないことで叱られたり、無理に食べさせようと説得されたりすることは、「食べたくなくなる=拒否」が強められるだけなのです。