大人はかつて子どもだった-『こどもの視展』レポート

こんにちは。日本こども成育協会理事の大塚千夏子です。

 

協会の仕事を通じ、子どもの発達発育の理解を進めていくと、子どもの発達の

階段一段一段を意識するようになりました。

 

そして、子どもは小さなステップを重ねて、「できる・わかる」を獲得しているのだと

改めて気づきます。

 

なによりも、自分がかつてその道を歩んだことに驚き、よくやってきたなぁと

子ども時代の自分をほめてあげたくなることばかりです。

 

その「子どもだったころの私」を思い出す体験ができるユニークな展覧会

『こどもの視展』に9月中旬、日本こども成育協会が監修をしている

プロジェクトのスタッフの皆さま、そして沢井佳子先生と行ってまいりました。

 

さまざまなユニークな体験をすることができましたが、印象的だったものを

いくつかご紹介したいと思います。

 

ベイビーヘッド

まずエントランスに入ってすぐに、大きな頭を持った大人の男性のマネキンが

目に入りました。

 

大人の体にあわせた赤ちゃんの頭の比率の大きなかぶり物です。

 

あのような頭が体に乗っていたら、立ったり座ったり、歩いたり、振り返ったり、

すべてが頭に振り回されるような感覚だろうなと感じました。

 

幼い子どもたちの愛らしい動きは、実はこの大きな頭の不自由さもあってのこと。

そう思うと、子どもたちをちゃんと支えてあげたい、と思うのでした。

 

 

2さいの食卓

2歳児から見たサイズの食卓風景です。

 

 

 

 

 

 

大きな牛乳パックからマグに牛乳を注いでみようとすると、

腕がぐらぐらして、注ぎ方を知っているのにも関わらずできません。

 

自称プロの5歳児沢井先生も、「たいへーん、よっちゃん上手に注げない…」

と言いながら大きなパックをよろよろと持ち上げたり、

ずっしりと思いマグカップでミルクを飲むふりをしたり、

まさに「5歳児」にしか見えない光景でした。

 

大人ランドセル

ランドセルは、大人サイズで考えると体感18.9kgにもなるそうです。

 

小学校1年生の時に小さかった私は、「ランドセルが歩いているみたいねー」と

言われていました。

 

このような重荷を負っていたのだと、改めて実感しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

公園に行ってランドセルを放り出して遊ぶあの解放感は、この重量からも

来ていたのだったと当時を思い出したりもしました。

 

*******

監修先のスタッフの皆さまの中には、まさに子育て中の方もいらして

子どもの目線から見た自分の姿を思い浮かべていらっしゃいました。

 

「子どもにとって自分はこんな風に見えるんですね」

「子どもがうまくできないことは、まだ子どもだからなのだという

当たり前のことに気づくことができました」

 

など、体験から「こどもの視点」を改めて感じることも多かったようです。

 

プロの5歳児・沢井先生も、皆さまに解説をしながら

 

「発達のことを理解したうえで、大人の頭で考えるだけでなく、

改めて子どもだったらどう見えるのかな、どう動かすのかな、

面白いと思うのかな、という視点が大切ですね」

 

と解説されていました。

まさに、「プロの5歳児」の一端を垣間見た時間でした。

 

 

【こどもの視展概要】

TOCHU SDGs STUDIO(東京都港区北青山2-3-1 Itochu Garden B1F)にて開催。

こども向けSDGs施設であるITOCHU SDGs STUDIO KIDS PARK

(協力:株式会社ボーネルンド)の7月22日オープンに合わせ、

こども視点での体験を通して、こどもとの暮らしや社会の在り方について考える

体験型展示『こどもの視展』を開催。

 

期間:2022年7月22日(金)~2022年9月19日(月・祝)※現在は終了しています。

https://www.itochu.co.jp/ja/corporatebranding/sdgs/20220715.html