げんきげんきをつくる食卓 保護者支援のために-食実践の3つのポイント② -どんどんつくろう! シンプルな組み合わせでからだの材料をつくろう【前編】

4月より、「こども成育インストラクター講座<食専科>」のディレクターであり、「健康食育」の講座も担当している隅弘子先生が、月刊誌『こどもの栄養』(公益財団法人 児童育成協会発行)にて、連載をしています。

児童育成協会様にご快諾いただき、連載の内容を当協会でのブログでも公開することになりました。「こども成育インストラクター講座<食専科>」をベースとした連載ですので、本講座のエッセンスがギュッと詰まっています。

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前回はげんき食の3つのポイントの一つ目である「どんどん燃やそう」を、栄養素の割合・食材の選択方法などの視点より、燃やせるヒントをお伝えしました。

今回は、子どもの成長・発達に必要な材料として②「どんどんつくる」についてお伝えします。

 

 

「げんきのもと」である「ご飯」。子どもたちの活動を支えるためのエネルギーは、毎食もしくは間食によって補います。そして、日々成長するため、身長や体重が増えていくためには「たんぱく質」が必須です。子どもたちの丈夫な骨、筋肉、血液、臓器などすべてのパーツの主材料はたんぱく質。食事でしっかり補っていく栄養素です。

 

からだをつくる「たんぱく質」の摂取源は?

たんぱく質が豊富な食べものというと、お肉・魚・卵・大豆・乳製品といった食品があげられます。食事の相談を受けていると、とくに食物アレルギーのお子さんをもつお母様から、「たんぱく源として卵が食べられない場合、栄養不足が心配だ」といった相談を受ける事があります。

 

 

確かに、卵が食べられないと、おかずの面や「黄色」という色味の面からもメニューに工夫が必要になるケースはあります。また、離乳食完了期から幼児食開始期のお子さんの中には、お肉をあまり食べてくれないといったケースもよく聞きます。

 

そして魚についても、離乳食では一生懸命裏ごしし、食べさせようとしても、その後、幼児食時期のレシピがあまり広がりません。干物ばかりだと塩分が気になるといった具合に、お魚は毎日食べられないと苦労されているようです。多くの方が「たんぱく質」は体にとって必要であることは知っていることでしょう。では、家庭ではどうやって毎食食べるようにしたらよいのでしょうか?

 

◆6%を上手に活用! 「ご飯」もたんぱく源として考える

ご飯は「炭水化物」が多く含まれる食品だと認識しがちですが、ご飯に含まれる総エネルギーの中の約6%はたんぱく質です。「たった6%しか含まれない」ととるか、「6%を上手に活用するか」これだけでも不安や悩みの解決につながります。

 

例えば、お腹の調子が悪い時、熱があり食欲があまりないときの食事を考えてみましょう。離乳食期にこのような体の不調の場合、バランスの整った食事内容よりも体の回復を優先した食事を選択しますね。

 

例えば、消化吸収のよい食べものとして「米」を軟らかく煮炊きしたおかゆは、エネルギーとともにたんぱく質を少量なり食べているのです。また、おかずは食べなかったとしても、栄養バランスを心配しすぎる必要はありません。お茶碗のご飯さえ完食もしくは食べているのであれば、「十分頑張っていますね」とお母さん方に伝えてあげてほしいと思います。

 

 

◆乳幼児期のたんぱく質は重量より消化のしやすさという点も考慮を

たんぱく質の摂取量を意識したメニューは確かに必要です。しかし同様に、その食品に含まれる栄養素をどれだけ体の中で消化吸収されるかを考える必要があります。たんぱく質を多く含む食品は、ご飯に比べると消化吸収するための時間を要します。肉類などは、噛みちぎりにくいので、口の中で咀嚼することができません。飲み込むような形で食べてしまえば、丸呑み、早食いといった食べ方が習慣化して、消化吸収に負担がかかりやすくなる恐れもあります。

 

また、魚や卵は、乳幼児の体では、まだ生で食べられるほどの抵抗力がありません。調理する際に、十分な加熱をしたものを食べさせる工夫が必要です。とくに体調が優れず抵抗力が弱りがちのとき、またはお腹の調子が悪い場合は、消化機能に負担がかかることも考えられます。また、たんぱく質は体の中で消化吸収された後、炭水化物と違い、老廃物(尿素窒素など)を生成します。「体の材料だからしっかり食べさせないと」とおかず優先の食事に偏る事によって、これら老廃物を処理する腎臓に負担がかかる可能性もあるのです。このように「臓器に負担をかけること=成長のあしかせとなる」ということも少し考慮してあげたいものです。

 

 

上に兄弟がいる第2子以降のお子さんに多いのですが、2~3歳くらいになると、回転寿司で寿司ネタの生魚を食べさせているケースも耳にします。食べた後に特にお腹を壊すようなことがなかったとしても、臓器の負担になる可能性を考えると、そのお子さんの「臓器機能の成長を考慮した判断」が必要ということですね。