食事の好き嫌いの理由は万国共通ーパラオでのボランティア活動レポート(1)

いつもブログをお読みくださっている皆様、こんにちは!

こども成育インストラクターの宗田香織です。

長期に渡るコロナ感染予防対策に気持ちが休まらない日々が続いていますが

いかがお過ごしですか。

 

さて、今回から数回にわたり、私が昨年2月に参加した

『広島国際大学健康科学部医療栄養学科尾形教授プロジェクト』で訪れた

パラオでのボランティア活動の様子を皆様にもご紹介します。

 

海外への渡航ができなくなって久しく、目が内側ばかりに行きがちな今、

視野を広げてみる機会になれば嬉しいです。

 

今回のプロジェクトに参加するまで、パラオについての知識はまったく

ありませんでした。

そんな“全く知らない国”に行って、「何をするのだろう」

「何ができるんだろう」とためらいもありましたが

活動の内容を聞いて、私が常に目標にし、「こども成育インストラクター」資格を

取得する原動力にもなった

 

人が生きていく上で歯や口の大切さをクリニック以外の場でも伝えたい。

そして食を通じて伝えられること。

 

それができるプロジェクトと確信し、参加を決めました。

 

パラオ共和国は太平洋のミクロネシア地域にあり、約200の島々で構成される国で

日本の屋久島と同じくらいの面積(約488km²)。

人口は約2万人、そのうちパラオに住む日本人は約350人だそうです。

 

第二次世界大戦後アメリカの信託統治下に置かれていた影響で食生活の欧米化や

気候環境により農作物が育ちにくいまた生活環境により野菜などの

長期保存が困難なことなどもあり栄養バランスの良い食事が難しいなど、

さまざまな理由により近年、肥満や糖尿病罹患率の増加が深刻な問題です。

 

広島国際大学の尾形教授はパラオの学校や総合病院などで

栄養教育に20年近くご尽力され、医療栄養学科の学生さんの海外研修としても

活動を続けてこられました。

 

また「生活習慣病の治療や予防には歯科からのアプローチも必要である」と

数年前から歯科医師、歯科衛生士も参画し現地小学校や日本語補習学校での

栄養教育に加えて口腔衛生教育も行っておられます。

この歯科チームの一員として、私も参加することになりました。

 

最初に伺った現地の小学校では、給食の時間に医療栄養学科の学生さん達の

グループワークである衛生教育のサポートをしながら、小学校の子ども達が

歯や歯磨きや虫歯についてどんな認識をしているかな?などを聞いてみました。

 

パラオの小学校は1年生から8年生まであります。

お昼の給食の時間になると低学年の子ども達から順に続々と給食室に

お昼ごはんを食べにやってきます。

 

ここで気がついたのは、“お腹すいた〜” “エネルギー切れ、ヘトヘト”

“待ってました、給食!”という感じではないことです。

 

子ども達の様子をよく観察してみると

・少食⇔食べすぎ の差が激しい

・少ししか食べない子どもが多い

・パスタは食べる(おかわりする)けれどサラダは食べない

・肘をついて食べるたりくちゃくちゃ食べる

・早食い

など、とてもげんきで愛らしい子どもばかりなのですが

食事風景は気になる点がいくつかみられました。

 

家庭でのごはんは、何を食べているのか・どんな様子か聞いてみると

「お腹が空いたら家にあるお菓子や缶詰みたいなものを適当に食べる」

という感じでした。

 

給食のメニューはシンプルで使っている食材も少ないもののお味は美味しい。

でも子ども達はあまり食べていない…

理由を聞くと「お腹が空いてない」「野菜が嫌い」「美味しくない」という

答えが返ってきます。

 

何かもっと根本的な理由もあるのではないかなと思い、

“もし私が子どもだったらどう感じるか”と

「こども成育インストラクター」の視点で考えてみました。

 

1. 日本の夏より気温と日差しが強い気候、クーラーのない給食室でアツアツのミートソースは

   食が進まないかも。サラダもぬるいなぁ…

2. 品数や色(お皿ではなく食材の)見た目が豊かだったら良いのにな

3. お友達どうしだけでなく先生とも一緒に食べたい・話したいだろうな

4.  給食を早く済ませて早く遊びたい

5.  給食の時間にお腹が空いていない(おやつの方が食べたいから)

 

などが思い浮かびました。

 

これらは、子ども達が給食を食べない理由や好き嫌い(本当は他の理由だか

嫌いと表現している)の理由にも繋がるような気がしました。

 

そして、パラオだけではなく日本の子ども達も実は好き嫌いは単に

食べ物の味のより好み(わがまま)や料理の美味しさ(不味さ)ではなく、

もっと他の理由に起因していることも多いのです。

 

大人の目線で判断し、好き嫌いをする子どもを叱ったり、無理にでも

食べさせようとせず、食べるという行為以前に、好き嫌いの理由を聞いたり

食材のことを話題にしたりすることが大切です。

 

どんな雰囲気で食事をしたら楽しいかなど、一緒に考えて食べたいと思う環境や

気持ち作りをすることは世界共通ではないかと感じました。

 

パラオの給食も日本の給食も、管理栄養士さんの栄養管理とともに

歯科医師・歯科衛生士やこども成育インストラクターなど多方面からの

アプローチは、食を通して子ども達の成長発育を支援していく上で

もっと力を入れていかないといけない課題です。

 

そうした点からも、今回の活動の大きな意義を感じました。

 

次回へ続く。

 

宗田 香織

1996年 東京都歯科医師会附属歯科衛生士専門学校を卒業後一般歯科や審美・矯正歯科などにて勤務。

2000年 Dr岡本・Dr竹内よりスウェーデン歯周病学を学び、歯周治療・メンテナンス・

インプラント予防管理を中心に歯科クリニックに勤務。

2018年10月よりこども成育インストラクター〈食専科〉アンバサダーとしても活動中。

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