専門家でも気づかない些細な子どもの発達の変化に気づけるように -「CHILDSCOPE みてた?」開発秘話1

先月こちらでもご紹介した子育てWEBアプリ「CHILDSCOPE みてた?」は、日々の子どもの成長や発達を動画で記録し、

記録した動画を『観察』することで、子どものわずかな変化や成長を客観視することを目的にしたアプリです。

 

開発には、当協会の理事 沢井佳子先生をはじめ、『こども成育〈食専科〉』でもおなじみの秋田大学 准教授の瀬尾知子先生、

一般社団法人 NICCOT Partners 代表理事の桑子和佳絵先生が参画されています。

 

「子どもの発達」「観察」といったキーワードは、当協会のコンテンツにおいても欠かせないワードです。

そこで今回、「CHILDSCOPE みてた?」の開発の裏側を取材し、アプリに込められた意図や想いをお伺いしました。

 

第1回は、常日頃より子育てにおける「観察」の大切さを提唱されてきた沢井佳子先生のお話をご紹介します。

 

「CHILDSCOPE みてた?」の開発にいたった背景を教えてください

 

沢井先生:子どもの顔や身体の変化に関心を持って話題にする親は多いのですが、「何がわかるようになったか?」、

「どんなことを話すようになったか?」、「何ができるようになったか?」など、子どもの「発達」の変化は、

「身体の成長」に比べて関心が低く、話題になりにくいようです。

 

発達に関心を持つと言うことは、すなわち子どもの内面、脳の発達に関心を持つということです。

それをもう少し「見える化」することで、普段の生活の中に、ものすごい発見があると考えました。

 

今はスマートフォンなどで手軽に動画撮影ができますが、カメラ目線の顔を撮るだけの“記念写真”のような動画がほとんどであり、

子どもの普段の行動に着目して記録したものは少ないと思います。

 

動画を撮影することで、どのようなことがわかるのでしょうか

 

沢井先生:「CHILDSCOPE みてた?」では、「ごっこ遊び」をしている様子や飲み物を注ぐシーンなど、

25の撮影シーンをあらかじめ提案し、その中から親御さんが選んだ特定のシーンを一定期間、複数回にわたって撮影していきます。

 

ふつうであれば、動画を撮ろうとは思いもよらないような場面が多く含まれています。

 

たとえば、食事のシーンです。誕生日や旅先での特別な食事を記念撮影することは多いでしょうが、

ご飯を食べ始めるとき、「いただきます」をしてから、スプーンやお箸を使ってご飯を食べはじめるという、

普段の子どもの行動を撮影することは余りないでしょう。

 

しかしながら、何気ない食事風景には、単に食べるという行動だけでなく、子どもが考えていることや、

手先や口の動きの器用さ、などがすべて現れます。

 

このように、子どもの発達というのは、何気ない生活のしぐさ・ふるまいに、その片りんが現れるのです。

 

わが子の発達というと、ついつい発達テストや検診、あるいは入園前のチェックといったことばかりに気が向きがちですが、

実は日常の生活習慣のなかで、子どもは好奇心をちゃんと見せているし、手先の巧緻性がどれほど発達したか、

認知の発達がどれほど進んだかを動作で示しているのです。

 

子どもの変化を記録に残すことのメリットとはなんでしょうか

 

沢井先生:早ければ1,2週間で、1ヶ月もあれば確実に変化が見えてきます。

撮りためていなければ、専門家であっても気づけないような些細な変化が、CHILDSCOPEによって、

おうちの方にも見えるようになるのです。

 

こうした子どもの変化を目の当たりにすることで、身体の成長や思考の発達を動かしている、子どもの内部の力、

言い換えれば、生まれつきインストールされている発達のプログラムが、いかにすごいものであるかにも気づかされるはずです。

 

「子どもは授かりもの」とはよく言いますが、その発達の能力も大いなる自然から授かっているのだ、

ということを親御さんは実感するでしょうね。

CHILDSCOPEの映像群は「子どもの生命の尊厳」を感じ取る記録なのだと思います。

 

また、少しずつ撮りためられたCHILDSCOPEの映像や音声は、子どもにとっても大切な記録となります。

特に、5歳ぐらいになった頃に見返すといいでしょう。

 

小学校入学前は、親も子どもも非常に不安を感じる時期です。

その頃に大事なのは、子どもが自身の「成長・発達してきた過程」を客観的に振り返って見つめることです。

 

3歳でできなかったことが4歳ではできるようになり、5歳の今はもっとできるようになっている・・・

こうした発達の変化を子ども自身が見て取れば、気持ちの安定につながるでしょう。

 

安定と言うのは、同じ場所にとどまるという意味ではなく、たとえて言えば「山道のルートがわかる」といったことです。

「このまま登って行けばいいのだ」、「この変化でいいのだ」と実感できたときに、人は気持ちが安定するのです。

 

他人と自分を比較する評価ではなく、過去の自分と現在の自分とを比べて得られる評価には、右肩上がりの成長と発達が確認できますから、

子どもの自信や自己肯定感の獲得に、おおいに助けになると思います。

 

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次回は、一般社団法人 NICCOT Partners 代表理事の桑子和佳絵先生のお話をご紹介します。ご期待ください!

 

■「CHILDSCOPEみてた?」概要

https://childscope.jp/

 

■ニュースリリース

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000106644.html