足し算ができても数を理解しているとは限らない

日本こども成育協会理事の沢井佳子先生と、料理芸人で2児の男の子の子育て

真っ最中のクック井上。さんのトークショーレポート第4回は、「数」についてです。

 

小学校入学前、幼稚園などで足し算といった計算をスラスラ解いている

お子さんがいます。

 

そうしたお子さんに刺激を受けて、「うちも算数教室に通わせたほうが

いいのかしら……」と不安や焦燥感にかられる親御さんもいらっしゃるようです。

 

けれど、幼いころから数字に触れて、たとえ計算で正解を答えられたとしても

必ずしも数の意味をわかっているとは限らないそうです。

 

沢井先生が紹介されたある小学校1年生の事例は、足し算の計算問題は

スラスラと解いて、常に100点という女の子でした。

 

その女の子に、8個のみかんを並べて見せました。

 

まずは、8個をぎゅっとひとまとめにした状態。

次に、間隔を空けて8個のみかんをバラバラに置いた状態で見せたのです。

 

「どちらのほうが、みかんの数が多い?」と聞いたところ

女の子はバラバラに置いた状態のほうが「多い」と答えたそうです。

 

心理学では「数の保存」という概念ですが、8個のみかんはどのように並び替えても

数は変わりません。

 

しかしながら、この概念がまだ理解できていないと、女の子のように

「見た目」にひっかかってしまうということがあるのです。

 

8+7=15はできても、本当の「8個」の意味はよく理解できていないのです。

いわば、「8」と「7」という記号を+という記号でつないだときは、

「15」と書けばよいということを覚えているだけなのです。

 

「計算ができる」ということに先走るよりも

みかん8個はどう並べても8個だという「数の概念」を

まずは幼児期に自ら発見できるような手助けが大事ということが

沢井先生からのアドバイスです。

 

次回へつづく。