何気ない日常を記録に残すことの大切さ -「CHILDSCOPE みてた?」開発秘話2

子どもの成長や発達を動画で記録し、記録した動画を『観察』するWEBアプリ「CHILDSCOPE みてた?」の開発ストーリー、

前回は当協会理事 沢井佳子先生のお話を伺いました。

 

専門家でも気づかない些細な子どもの発達の変化に気づけるように -「CHILDSCOPE みてた?」開発秘話1

 

第2回は、開発プロジェクトを中心となり推進されてきた一般社団法人 NICCOT Partners

代表理事の桑子和佳絵先生のお話をご紹介します。

 

桑子先生は、母親の子どもへの関わり傾向を客観視する『ママエゴグラム診断』や、

保育士のパーソナリティ診断『せんせいエゴグラム』などの開発実績をお持ちです。

 

また、日本こども成育協会の『こども成育〈食専科〉』の講座開発や、WEBアプリ『オヤトコ診断』の開発にも

参画いただいており、沢井佳子先生が唱える「子どもを観察することの大切さ」に共鳴されているお一人です。

 

「CHILDSCOPE みてた?」の開発の特徴を教えてください

 

桑子先生:「CHILDSCOPE みてた?」は、親が子どもを観察する力、応援する力をサポートすることを目的としています。

そのため、実際に使用するお母さまの声を開発に反映できるよう、『ママプロジェクト』を立ち上げました。

 

3歳のお子さまを持つ10人のお母さまにご参加いただきましたが、フルタイムで働いている方、

フリーランスで働いている方、専業主婦の方など属性も多様になるよう考慮しました。

 

参加者は、実際に撮影した動画をLINEグループにアップロードし、開発チームの専門家の先生方が

その動画をすべて見たうえで、子どもの行動と発達に関した解説をするセミナーをおこないました。

 

参加されたお母さまたちからどのような声が挙がっていましたか?

 

桑子先生:みなさん、驚いていました。「気がつかないだけで、短期間でこんなに変化しているのですね」というのが、

どの方も感じられた象徴的な声だと思います。

 

たとえば、牛乳をコップに注ぐという行動を撮影したご家庭がありました。

最初は、牛乳パックを持つ手もぷるぷると震えてしまい、しっかり持てませんでした。

 

1週間後の撮影では、牛乳を注ぐ時にこぼしてはしまうのですが、牛乳パックを持つ手が力強くなっていました。

さらに1週間後には、ゆっくりと注意しながらコップに牛乳を注げるようになっていました。

 

「こうしなさい」という指示を受けずとも、子どもは自分自身で「加減をみる」といった調整をしながら、

その動作できるようになっていきます。

これは、改めて動画を比較して見るからこそわかる大きな発見であり、驚きでした。

 

「何気ない日常を記録することが、とても大事だということに気づいた」という声もありましたが、

まさにそれこそが「CHILDSCOPE みてた?」ならではの特長であると、私自身も実感しました。

 

そのほかに、『ママプロジェクト』に参加したお母さまたちの変化はありましたか?

 

桑子先生:日常の一つの行動にフォーカスを当てて動画を撮影するという「定点観測」をしてみると、

子どもを落ち着いて見守れるようでした。

 

子どもができないことに対して、「こうしたらうまくいくのに」とついつい口を出したくなるものですが、

スマートフォンのレンズを通すことで、不思議と冷静かつフラットな目で子どもを見られるのです。

 

そして、「短期間でこんなに子どもはできるようになるのだ」ということがわかると、

親の焦る気持ちが和らぎ、気持ちも穏やかになります。

それが伝わり、子どもにもゆとりができるという、良い連鎖が生まれているのではないかと思います。

 

また、「この子は大丈夫なのかしら」とわが子の成長・発達に不安を抱いていたお母さまも、

映像の中に確固たる「証」を見出すことで、間違いなく育っているのだと安心できるようにもなります。

 

このように、子どもは自ら育つ力を持って生まれてきています。

そして、「ちゃんとできていたの、ママ見てくれていた?」と、子どもたちは日常の行動で示しているのです。

そういう意図を込めて、このアプリを「CHILDSCOPE みてた?」と名づけました。

 

「CHILDSCOPE みてた?」のこれからの展開を教えてください。

 

桑子先生:今回は3歳児版をリリースしましたので、実際にお使いいただいているユーザーの声を反映しながら、

2歳児版、4歳児版と拡張していくことを計画しています。

 

また、将来的にはLINEシステムを組み込むことで双方向のコミュニケーションが図れるような仕組みや、

撮影した動画を公開することも構想していますので、期待してお待ちいただければ嬉しく思います。

 

桑子和佳絵先生 プロフィールはこちら

https://www.kodomoseiiku.jp/adviser/kuwako/

 

 

 

 

 

 

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次回は、秋田大学秋田大学文化学部 准教授 瀬尾知子先生のお話をご紹介します。ご期待ください!

 

■「CHILDSCOPEみてた?」概要

https://childscope.jp/

 

■ニュースリリース

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000106644.html